美しい言葉を紡ぐクズ男の魅力:漫画で太宰治を考察

 

本物のクズ男とは?

──決して拒絶をしない男である。

 

 

ところでクズ男の代表と言えば、いきなりだけど文豪・太宰治。

わたくし学生の頃、好きでした。

 

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彼こそが「拒絶をしない(で相手を真綿で締め上げていく)クズ男」だと思っているのですが。

 

数々の女と一緒に狂言自殺未遂を繰り返し、最後は愛人の山崎富江と入水自殺を遂げた人。

パイセン激しいっす

 

太宰は最後まで本気で死ぬ気はなかった説(人格障害だった説=狂言自殺を繰り返しやすい)や、富江さんだけが水中でもがき苦しんだ顔をしていることから入水する前に太宰は絶命していた説まで、諸説あります。

 

(しかし既に死んでた説は無理があると思う。だって女一人で死んだ男の体重引きずって土手に行くのは富江がレスリングでもしていない限り無理)

 

 

 

今回、そんな長年の論争に1つのアンサーが見つかりました。

 

 

その答えは、これに書いてありました。

 

 

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(^ω^)・・・

 

心霊マンガ「視えるんです」第5巻であります。

 

霊感のある漫画家・伊藤三巳華さんが、なんと本人(太宰と富江の霊)に聞いてくれました。

 

死んだ人に直接聞けるなんて、便利。

 

手っ取りばやーい(^ω^)

 

 

※みなさん手っ取りばやい霊感商法は信じてはダメです

 

※伊藤三巳華さんの漫画は霊感商法ではなく、よくできていて面白かったです。作家は結局、嘘か誠かよりも、人間力。

 

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ここからネタバレあります

 

漫画になった時点で創作ですので、信じる信じないは置いといておおらかな目で見るとして。

 

三巳華さんが視えた太宰(の霊)の様子を描いた漫画は、太宰好きからしてみると、かなり太宰っぽくて読み応えがありました。

まんま「ずるいひと、にくいひと」って感じで萌える!

 

 

ざっくり言ってしまうと、漫画では太宰(の霊)も愛人富江さん(の霊)も割とアッサリ出てきて、心中の真相をおん自ら語ったりしてくれています。まじですか。

( ´,_ゝ`)プッ

 

 

で、その男女双方から聞いた心中の真相が、人間模様として普通に味わい深いのです。

 

 

富江さん(の霊)は、一緒に死ねて幸せだったとやたら強調。

 

でもその割に今(?)も未練ありそうな感じ。(これ現代の愛人稼業の人にも共通する気がする…「幸せよ」となぜか言葉で強調するが幸せそうではない)

幸せを強調する女、怖い

 

 

対して太宰の方は、死してなお、大変にずるい。

 

「僕はだれひとりとして愛してなんかいないのだよ」と語り出し、富江をはっきり拒絶せずに、未だに美しい抒情詩のような言葉でのらりくらりと自分の死を小説じたてに語るという…。(この部分は本当に太宰が語っているようで、圧巻でした)

 

かつ、一緒に嫁が眠っているという自分の墓の前では、愛人の気配を感じさせないように知らぬ存ぜぬをしている(死んでなお…)のも、本当ならば大変に人間臭くて面白いと思いました。

どんなクソも美しい物語に変換する最強の武器、怖いっす

 

そこにはまさに「男女の言い分の食い違い」「男と女の感じ方の違い」「クズ男のずるさと悪魔のような魅力」「逆らわない女が一番怖い」といった、この世の男女間に横たわる全てが介在するような関係が描かれていたのです。

 

作者の三巳華さんが意図していない部分においても、不倫関係の人間模様(しかも日本一口がうまい文豪の)が垣間見れるので、見所が満載ですわよ。

 

 

三巳華さんも作家として、著名人について描く前はネットで答え合わせや太宰ファン層の趣向(それが太宰ファンに好まれる太宰像かどうか)などは絶対に意識するでしょうから、どこから創作が入っているか読者サービスが入っているかはわかりませんが。

太宰好きなら信じたくなってしまう、あまりにも太宰っぽさのあるエピソードがいっぱいでした。

 

 

霊でもいいから太宰の新着情報が知りたい!という人はぜひ「視えるんです」第5巻をチェックしてみてください。(おい)

 

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あまりにも美しい言葉を紡ぐクズなイケメン。

 

自分の悲しみを女に浸透させてくるくせに、愛してはくれないイケメン。

 

そして愛してはくれないのにどんな時も拒絶はしないイケメン。

 

 

ああ恐ろしい。

こんな魅力的なクズ男に出会ってしまったら、人生終わりますわね。

 

 

でも三巳華さんの見てきた話だと、死んでもあんまり変わってないようだったけど…

ファンとしては、お変わりないようで嬉しい、と喜んでいいのか?(嫁や愛人の立場からすると「死んでも治らんのかーい」となると思う)

 

(おしまい)

 

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