「サークルクラッシャー」は天然では済まされない <ピーチ・ミルク・クラウン>
本当の意味で、「ド天然」な可愛いモテモテ女など、この世にはいない。
それを望む男性と、望みを受ける側の女性とのナチュラルなタッグの中にしか、それは存在しないのです。
もちろん、本物のド天然もこの世には存在します。
しかしホンモノのそれは、他の追随を許さない独特っぷりで誰もついていけません。つまりモテはしません。
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ところで、ビッグコミックスピリッツで連載していた「ピーチ・ミルク・クラウン」という青春恋愛ものの漫画が終わりました。
なんというか軽め・地味めな作品で、スピリッツの中でも花形の立ち位置というよりは、「箸休め」的存在。
少年〜青年誌で時々ある、「女の子キャラが可愛くて体の線がエッチ」という点で引っ張っていくタイプの作品です。(大事なことよね)
陸上部男女6人の青春ラブストーリー、手原和憲「ピーチ・ミルク・クラウン」 https://t.co/rS2Sf8L5sJ pic.twitter.com/t6ZBT3nOSu
— コミックナタリー (@comic_natalie) 2018年5月30日
あらすじとしては、陸上部の高校生の男女6人が三角関係やら四角関係やら、恋にスポーツにメラメラする甘酸っぱいアレです。
かく言う私も、最終回近くまでなんとなくダラーっと見ていて、もともと青年誌の恋愛ものは好きではないし、正直ハマるほどではありませんでした。
ただ、絵が白めでコマが大きめで文字少なめだからラクに読めるなーって。笑
内容をものすごくざっくり言うと、主人公の陸上部部長・与一くんが、ヒロインの超絶ド天然美女・桃ちゃんに恋い焦がれて、じれじれと進展していくのを悶えながら楽しむタイプの作品。
これのセンターが与一くん、右がヒロイン桃ちゃん↓
今週、スピリッツは田中さんのご結婚などにより結婚を特集した号となっています。
よってピーチ・ミルク・クラウンも式の帰りのようなセンターカラーとなりました。誰の結婚式だったんだ。
本編では、この3人の関係が案の定?こじれて参ります。 pic.twitter.com/eFcd3uutn5— 手原和憲 (@taharakazunori) 2018年4月23日
で、いろいろあったけど普通は最後は二人はくっつく・・・というか漫画界の法則では、それ以外は認められないタイプの作品です。
なぜならくっつかないのは誰も望んでないから。
でもね (以下ネタバレあります)
この作品、
くっつかなかったのよ。
それも、「今はのっぴきならない事情で付き合えないけど、いつか・・・そして数年後」とかでもなく、
冴えない男の方が、
「恋が冷めたから」という理由で、高嶺の花の美女を振るの。
・・・・
さらっと書いてますが、これ漫画界ではかなりすごいことですよ。
めぞん一刻で、五代くんが響子さんを「冷めたから」という理由で振るようなもの。
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今だったら大炎上案件ですよ。
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でも、ピーチ・ミルク・クラウンで凄いのが、読者(つまり私)がそれをみて、どこかスカッとするところ。(私だけ?)
なぜかというと、このヒロイン桃ちゃんが、女から言わせてもらえば天然のクソビッチだからです。
リスとたわむれる天然↓
何やら久しぶりの掲載になりましたが、ピーチ・ミルク・クラウン、皆さんリス園を楽しんでいます。お互い思うところがあるだろうに。
今回、リスなどのネズミ目は物凄く種類が多いと知りました。なかなかスパイシーな町田リス園。機会があれば是非… pic.twitter.com/n3tXq7VqXU— 手原和憲 (@taharakazunori) 2018年10月15日
やーいフラれたぁ・・・おっと本音が出てしまったわ。
ではなく、
これまで疑うことなく「ピュアでかわいいラブストーリー」としてしか見ていなかったものが、最終回で大どんでん返しを食らって、一気に、
「マイルドなサークルクラッシャーとその周囲の物語」という裏テーマがリアルに浮き出てくるの。
今までちんたら陸上競技で勝負してデートにありつけるとか、生温かい進行でやっときながら、最後だけ激辛。
そして今見返してみれば、主人公がヒロインに冷めていく過程もちゃんと描かれているのよね。
これまで一貫して「可愛い」「天然」「おっちょこちょい」として好意的に描かれてきた最強美少女が、最終回で一気に「天然では済まされない無自覚なビッチさがあった」という視点が加わったいうこと。
これ、作者狙ってやってるのかしら。だとしたらちょっと凄いわ。
読者も連載中は「ヒロインだしカワイイし、ちょっと思わせぶりなところも魅力だよね」って目で見ていたのに。
終わりしなに「あ、今思えばあのこってサークルクラッシャーそのものやん」と気づかされるところは、現実のサークルクラッシャーに出くわしたとき、いろいろ過ぎてみないと気づけない状況と重なる。
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ということで皆さん、天然ドジっ子には注意しましょうね。
無自覚であればあるほどタチ悪い。笑
ま、ほとんどの場合、タチの悪さも含めて楽しんでいる場合が多いのだけれど。
最後に、ピーチ・ミルク・クラウンは・・・
決して派手さはなく、人に「これ読んで!!」と薦めるタイプの漫画ではない(一部の人がほどほどな感じで楽しむタイプの作品)のですが、
いわゆるゆるーい「青春恋愛漫画」なのだけれど、久々に予想を180度覆された漫画でありました。
(おしまい)
自分は男なんですが、勝手に盛り上がっていたのは与一と安田のほうなわけでなんだその言い草はと少々腹が立ってしまいました。いずれにせよ魅力的な異性を巡って主人公とライバルが恋のさや当て合戦をするという伝統的なプロットに水を差したのは興味深かったです。
青春物語なので、みんな勝手ですね!与一も勝手だし独りよがりですね。それも含めて青春ぽいと言えば青春ぽいのですが。
私は女性なのでどうしても「こういう女、いたいた」という目線で(無意識的に)見ている部分があったからこそ最後にちょっとほくそ笑んでしまったのです。でもおっしゃる通り、そのやり方(水をさすエンド)が「面白かった」というよりは「興味深い」というのが私も強いです。
最終巻を読んでラストの衝撃とモヤッとした気持ちが収まらず、他の読者の感想を求めてここにたどり着きました。
サークルクラッシャー!
腑に落ちました。
その観点でもう一度読み直してみます。
普通に読んでたらモヤっとする人多いですよね・・・
私は完全に女目線なので、どうせ天然美少女とハッピーエンドだろうと斜に構えて見ていたので、最後に予測を覆され、マイルドなサークルクラッシャー的要素のある子が作中でほんのりとそのように認識されるさま(通常は単なる天然ボケという解釈で終わる)が新鮮でした。
作品もファンも気持ち悪い
酷い作品でしたね
あまりの酷さになんじゃこりゃーと破り捨てた
ライバル男がヒロインとキスした「かもしれない」という憶測で、気がつくとその恋に冷めてしまう
ヒロインの方は主人公をどんどん好きになるが、一方で主人公は好きじゃなくなり、告白されてもポイと捨てる
作者の闇の深さを考えさせられてしまいました