北欧は、かわいいけれど甘くない <“北欧映画の一週間”で感じた北欧らしさ>
空前の北欧ブーム、続いてますね。
北欧といえば?
日本人として一般的には、ムーミン、マリメッコ、ヤコブセンのような名作家具…
今や日本でも商業施設の雑貨フロアには欠かせない要素であり、平面的で温かみのあるデザインは日本人の元来の好みと相性がいいですよね。
そんな北欧ばやりの中、渋谷ユーロスペースの「北欧映画の1週間」に行ってきました。
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目当てはKim Hiorthøy(キム・ヨーソイ)。
(マニアックですが。。。)
もともとイラストレーターとして高く評価され、日本では、エレクトロニカ系ミュージシャンとしての活動が一番有名なアーティストです。
彼の初の長編映画が、今回本邦初公開の「The Rules for Everything(ルールズ・フォー・エヴリシング)」。
もっともっとミュージックビデオのようなボワーーーーーンとしたアート系かな、寝ちゃうかもなー、と思って行ったのですが、思いのほか(?)ストーリー性があり、引き込まれてしまいました。
主役の女の子が可愛すぎる。
ひとことで言うと、「人生とは 必ず負けるチェスの勝負を 死神と楽しんでいるようなもの」という真理を、おっしゃれーな音楽と映像と少しのコミカルさで描いている良作でした。
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以前、音楽の仕事をしている時に、何人か北欧のミュージシャンに触れたことがある。
Jaga Jazzist、ロイクソップあたりがちょっと売れてた時期あたり。
その時は、北欧らしさをものすごく意識して聴いていたわけではないのだけれど、こうして離れてみて改めて北欧でできたものに触れると、北欧ってじつに北欧らしいなあと。。。
今回私がキム・ヨーソイ「The Rules for Everything」を観て改めて感じた、北欧独特の土壌から生まれたものの特徴とは・・・
・基本的には素朴だが、ヨーロッパ的な抜群のセンスの良さがある
・陰鬱にくすんだ色調のなかに、温かみがある
・まるっこくて人懐っこさがあるが、哲学的な冷たさがある
・どこかこまっしゃくれた可愛さがあるが、甘さは一切ない
こうやって書くと、北欧家具やデザインにも共通したものがある。
特に今回あらためて気づいたことは、北欧カルチャーには「甘さ」がないこと。丸みや温かみはあるけれど。
日本人は結構、甘いデザインやストーリーが好きなところもある(かわいいと甘いをくっつける)から、その辺りに日本との違いを強く感じましたね。
かわいいと甘いをあそこまでバッサリ分けると、日本人的にはなにか冷たさ、少しの不安を感じたりも。
でもそこが北欧をスタイリッシュにしている素晴らしいところなのだな・・・
北欧の感性に触れられて、再発見の1日だった。
(おしまい)