世に出てこない天才もいる2
(前回の続き)
作家のコスモ氏は昔から、音楽では天才の部類に入るタイプと言っても過言ではなかった。
とはいえ、例えば今ハヤリの米津さんのような、いかにもアーティスト然としたアンニュイでミステリアスな「アーティストになるために生まれてきました」という方向性では全くなく・・・
とってもお地味。
彼が特にスペシャルな部分は・・・
すべての楽器の演奏能力の高さ、さらに言えば耳のよさ。
音楽(難しいコードやジャズ、フルオーケストラまで)を耳で聞いて即座に再現する能力があり、それが彼の肥沃な音楽性を支えている。
そして特筆すべき点に、「絶対に表に出たがらない」というのがある。
本当は人気者になりたいけど斜に構えているのではなく、本当に影でいたいタイプ。これは、音楽家としてはとっても珍しい。
彼には天才的な音楽の能力だけが純粋に備わっていて、自我、つまり「自分を見て!知って!」という欲がほとんどないのだ。
(人より優れた能力があれば、力を見せつけたくなるのが普通だ)
私は時々、歯がゆくなる。
彼は脚光を浴びるべき逸材なのだと、全世界に向けて発信したくなる。

売れる・・・売れるのに・・・
でも彼は、目立つようなことはせずに、今も実に自然に音楽に関わり続けている。
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この世には、周りが放っておかない才能を持った、出るべくして世に出てくるアーティストもいる。
ただ稀に、表には決して出てこない部類の天才もいるのだ。
そんなコスモ氏を見て、何だかもったいなくてヤキモキするけれど、もう彼は音楽家の中でも、潜伏していて決して一般人は知り得ない天才ハッカーみたいなものだと思うことにした。
確かな技術を持った天才を、私は愛します。リスペクト!
(おしまい)